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千葉君を励ます会

ロック再び 30年ぶり舞台
21日、北大OBバンド、平均53歳、がんのメンバー激励
2002/12/19 北海道新聞朝刊全道 30ページ
髪が少し薄くなった。体重もずいぶん増えた。でも、ロックにかける思いは十九歳のままさ-。
一九七〇年前後、北大軽音楽部で活躍したOBでつくるバンドが二十一日、札幌市内で三十年
ぶりにステージに立つ。弁護士や歯科医師、経営者など第一線で活躍する平均年齢五十三歳の
メンバーが再びバンドを組んだのは、がんになったベーシストを励ますためだった。
 バンドはザ・ヴァイカウンツ。英語で子爵を意味し、身なりはみすぼらしくても志は高く、
との思いが込められている。メンバーは、リーダーでギターの大槻博さん(53)=北ガス
副社長=ら六人。エリック・クラプトンなど、ブルースに根ざしたロックが得意だ。
 学生当時、キャンパスは「七〇年安保」闘争で荒れまくった。楽器を持つだけで「軟派」と
ののしられたが、音楽を愛する六人は演奏を続けた。
 藤女短大の学生だった歌手の大橋純子さんも一緒に活動する仲間だった。六人は大学卒業後
も年に一度は顔を合わせたが、バンドを組むことはなかった。
 九七年春、大きな転機が訪れた。ベースの千葉知成さん(52)=理科学機器販売の「ラボ」
札幌事務所長=が骨をむしばむがんにかかったのだ。千葉さんは二年近い闘病で持ち直したが、
抗がん剤の副作用で指が思うように動かず、ベースの名手の影はもはやなかった。
 メンバーは誰からともなく言い合った。「バンドをやろう。千葉のリハビリもかねて」。
二年前、ドラムスの末神裕昭さん(52)=弁護士=の事務所で練習を始めた。ロックの世界
では地位も肩書も関係ない。それぞれが重い責任を背負う職場とは違い、リラックスできる。
千葉さんも全盛期に近い腕を取り戻した。
 活動が知人の目に留まり、出演依頼がきた。七二年の解散以来、三十年ぶりのステージ。
メンバーは「山あり谷ありだった自分たちがいい演奏をすれば同世代への応援歌になる」と
意気込む。
 ザ・ヴァイカウンツが出演する演奏会は二十一日午後五時半から、札幌市中央区南七西三の
「エル・マンゴー」で。入場料は千円。問い合わせは同店(電)011・512・0195へ。


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